好きを百万回。
どんなに苦しくても、悲しくても毎日は過ぎていく。
幸いなことにお母さんは小康状態で、今引き受けている仕事だけを仕上げて辞める決心をしたらしい。
昼間は仕事で家にいないわたしは、もしお母さんが家で倒れても対処してもらえるように家政婦さんをお願いすることにした。
もう夜に、スマホが震えることはない。
あの夜以来、連絡がくることは無くなったから。
「変な噂が流れてるわよ」
昼休み、銀行近くのうどん屋で亜弥が口を開いた。
亜弥には嫌がらせが辛くて朔也さんと別れたと伝えていた。聞いても亜弥は「そう」とだけ言い、それ以上踏み込んでくることはなかった。
「変な噂?」
「アンタが不動産屋勤務のオトコと野波さんを2股してアメリカ行く野波さんを切り捨てたって」