好きを百万回。
「ちょっとお昼ご飯買ってくる。電話もしてくるから少し遅くなるよ」
「いってらっしゃい」
文庫本に視線を落としたままお母さんが手を振る。
1階に降りると、日曜日だから受付の前に並べられた長椅子には誰もおらず電気もついていなくて昼間だというのに薄暗く閑散としていた。
疲れた・・・・・。
椅子に浅く腰掛け、背もたれに背を預けて天井を仰ぎ見る。
最近は泣くことも無くなった。
辛いことに慣れ過ぎて心が麻痺してきたせいだろう。
いっそこのまま、心が何も感じなくなればいい。
目を閉じて、考えることを放棄する。
どのくらいそうしていたのだろう。
誰かに名前を呼ばれたような気がしてゆっくりと目を開けた。
「やっぱりこまりちゃんや」
背もたれから背中をはがし、声がした方を向く。