好きを百万回。
「男と女のことやしな、事情は本人同士にしかわからん。悩んで身体壊したんか?」
「いえ、わたしではなく母が入院してて・・・・・。わたしは元気です」
折田さんがじっとわたしを見る。
あんまり向けられる眼差しが優しくて目が逸らせない。
そのうち折田さんの手がわたしの背中をゆっくりと上下にさすり出した。
「元気そうに見えへんで。しんどい思いしてるんとちがうか?可哀想に痩せて背中も骨が刺さりそうや」
ゆっくりゆっくり、背中の手が上下して、そこから体温が上がっていくような気がする。
「しんどいなあ、しんどいなあ・・・・・」
小さな声で呪文のように呟かれる言葉。
干からびて、ひび割れた心に沁み込んでいく。
ほろほろと涙が落ちた。
もう枯れ果てたと思っていたのに。