好きを百万回。
「分かりました」
身の回りを片付けて営業室を出て書庫に向かう。矢口さんの隣から逃げることができて少しほっとした。
書庫のドアを開けると、ダンボールの山がいきなり目にとびこんでくる。
「これ1人でって・・・・・森崎さんどんだけオニなの・・・・・」
げんなりしながら、手近な箱から開けて中身を確認しながら出していく。
書庫の中はたくさんの棚があって、いちばん上の段はわたしの頭のまだ上だ。
「埃取りと脚立もいるか」
埃取りを片手に脚立に上ると、案の定いちばん上は埃だらけだ。
埃取りを動かし、まず掃除を始めたけれど、まともに吸い込んで咳き込んだ。後ろに仰け反ったのが悪かったのか脚立のバランスが崩れ、身体が宙に浮く。
ダメだ・・・・・!
痛みを覚悟したのに、わたしの身体は背中から弾力のあるものに包まれた。
覚えのあるコロンの香り。
お腹のところで交差している見覚えのある手。
「・・・・・っぶねー」
耳元で聞こえる懐かしい声。