好きを百万回。
「山岸くん・・・・・めっちゃ高級そうな・・・・・」
「ああ、これ別館なんです。1日3組限定の。折田専務が静かな方がええって言うんで」
事もなげに山岸くんがスタスタと入っていき、「来たよ」と女将さんらしき人に声をかけた。
「母です」
和服姿が上品な色白美人だ。
「山岸、お父さん似?」
すかさず亜弥が突っ込む。
「杉浦さんっ!」
山岸くんのお母さんがコロコロと笑う。
「いらっしゃいませ。折田様もお久しぶりです。おじい様にはいつも贔屓にしていただいて」
「また寄せてもらうからよろしくとの伝言です。今日は無理を聞いていただいて・・・・・」
結弦さんが頭を下げた。
山岸くんのお母さんに案内された部屋はまた豪奢で、わたしなんかが泊まっていいのだろうかと心配になるくらいだ。