好きを百万回。


二間続きの和室の向こうには縁側が見え、外は日本庭園だ。しかも部屋専用の露天風呂まである。

「先にお湯を使ってさっばりしてきてから食事にするよ。1時間後くらいかな」
山岸くんが女将さんに言うと亜弥も結弦さんも頷く。


恐らくは、元気のないわたしのために3人で計画してくれたこと。


「木下さん、いっぱい食べてくださいね」
亜弥と温泉に入り、浴衣に着替えて部屋に戻ると食事が用意されていた。

山岸くんも結弦さんも浴衣に着替えている。

卓上には上品に盛り付けられたお料理が並べられ、どれから手をつけようか悩むほどだ。

隣に座る結弦さんがコップにビールを注いでくれる。

「ちゃんと食べろ、小娘。痩せて抱き心地が悪そう」

苦笑いしかできない。

「そうやで、こまり。食べてないし眠れてないのが丸わかり。大変やったのは分かるけど」

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