好きを百万回。


これ以上心配をかけてはいけないと思い箸を動かした。

「木下さんの美味しそうに食べてるとこ見れて嬉しいですよ」

みんな優しい。
涙腺が緩みそうになって慌ててグラスを掴みビールを飲む。久しぶりに飲んだせいか、大した量ではないのにアルコールが身体に染み渡る。

「小娘、酔っ払ったら代わりに抱いて介抱してやるから安心して酔え」
空いたグラスがまた満たされた。

誰のとは言わないのは、結弦さんの気遣いなのだろう。

山岸くんが徐にスマホを差し出す。
不思議に思って受け取ると、画面には笑う野波さん。

「SNSですよ。毎日アップされてます」

『引越し完了。家具付きコンドミニアムを借りたからラク!ネット環境も整いました。』
『大学はハード。当然ながら英語で生活。ボストンの英語はオレの住んでた西海岸とはまたちょっと違う』
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