好きを百万回。


「うん、さすがこまりちゃんは気が利くね」
大崎さんはお腹がポッコリ出て、全体的にコロンとしたいつもニコニコしているどこか憎めない人だ。

「褒めても何にも出ませんよ〜。里佳ちゃんから餌付けしないように言われてるから」

大崎さんの奥さんはわたしの同期で、1年前に披露宴にも出席したし新居にもお邪魔したことがある。

「餌付けって里佳ちゃんもひどいなあ。絶対自分が妊娠中で体重制限厳しくて好きなもの食べれないから僕にも厳しくするんだよ」

頬を膨らませて文句を言う。子供みたいだ。

「そんなことないですよ。パパになる大崎さんの健康を考えてくれてはるんでしょ」

冷蔵庫からアイスコーヒーを出して使い捨てカップに注いで渡す。

「そういえばこまりちゃんに面倒なこと頼んだみたいだね。ごめんね」
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