好きを百万回。
「木下・・・・・あ、佐藤さんか。なんで野波さんやオレらが矢口さんのこと、知ってるのか不思議でしょ?」
山岸くんの言葉にコクンとうなづく。
「聞いたのよ、アンタが野波さんと別れろって脅迫されてるときに居合わせたコに」
泣きそうな目でわたしを見ていた女の子。
「野波さんがアメリカ行ってすぐぐらいの同期会でね、『木下さん、おとなしそうな顔して二股なんてやるよなあ』って言ったバカが居たんですよ。そしたらソイツ、酒の勢いもあったんやと思うんですけど『何にも知らへんヤツが木下さんの悪口言うな!』ってキレて」
「小娘、お前そのコに口止めしてたんやってな」
「え・・・・・あ・・・・・」
「で、オレ同期会が終わった後でそのコに聞いたんですよ。突き飛ばされて脅された内容の一部始終を」
「どんどん痩せて顔色が悪くなるこまりを毎日見るのが辛かったって言うてたんやって」