好きを百万回。
・・・・・可哀想なことをしてしまった。
「・・・・・その時に全部オレに言えば良かったんだ」
野波さんの不機嫌な声音。
「そうよね、わたしにでも言うてくれたら良かった」
「ごめんなさい・・・・・」
みんなに心配をかけていることは分かっていた。分かっていて黙っていることを選んだ。
「・・・・・野波さんの留学、邪魔したらダメだと思って・・・・・矢口さんが変な噂流したり矢口常務の不興を買ったりしたら・・・・・お母さんのことも言えば留学前に負担をかけると思って・・・・・」
「こまり・・・・・」
隣に座る亜弥がわたしの頭を自分の方に引き寄せ撫でる。
「・・・・・オレの気持ちは無視か?」
「朔!」
感情を押し殺した声で静かに怒りを表す野波さんを結絃さんが止めた。