好きを百万回。
さんざん食べて、飲んで、気が付くといい時間だ。
「ごちそうさまでした」
丁寧に頭を下げる。
「女の子をあんまり遅く帰してもあかんな。そろそろお開きにしよか」
「あ、わたしは帰りますけどどうぞお二人は・・・・・」
「女の子を夜に1人で帰すわけにはいかないでしょ。オレが送るよ」
「けっ結構です。わたし京都なんです。1人で電車で帰れますから」
一瞬、矢口さんの顔が頭に浮かんで背中が冷える。こんなことがバレたらあの鋭い視線で殺されそうだ。
「ほんなら野波くん、電車に乗るまで見送ってあげなさい」
ここからだと駅まで歩いて10分か15分くらいか。野波さんと2人っきりというシチュエーションに緊張する。