好きを百万回。
支払いをしてくれるという折田さんより先に帰る訳にはいかないので、ハイヤーを呼んでもらう。
「こまりちゃん、また一緒にご飯食べよな。カレシに内緒でこっそりデートしよ」
「内緒にするカレシがいないので堂々と行きます。またコーヒーもご一緒してくださいね」
ハイヤーに乗り込み、折田さんが手をふる。テールランプが夜の街に消えるまで見送った。
「さてこっちも帰ろか」
野波さんが声をかけてくれる。送ってくれるという言葉に甘えてもいいのだろうか?先に歩き出した野波さんの背中を追いかける。
すれ違う女の人がみんな野波さんを見る。
後ろを歩くわたしは野波さんの何に見えるんだろう・・・・・。
突然、足を誰かに掴まれたみたいに動かなくなる。あっと思ったときにはもう転んでいた。