好きを百万回。


「木下さん!大丈夫!?」

野波さんが慌てる。

「・・・・・大丈夫です・・・・・痛いけど・・・・・」

なんでこんなところで転んでしまうんだろう。カッコ悪い・・・・・。

よく見ると靴のヒールが溝蓋の格子にはまりこんでいた。情けない・・・・・。
とりあえず、はまってしまったヒールを抜こうとする。

突然、後ろから両脇に入れられた手に、ぬいぐるみのように持ち上げられた。

「肩に手を置いていいよ」

わたしの足元に座り込んだ野波さんの肩につかまって、片足で立つ。

「の・・・・・野波さん、自分でしますから」

「もう取れたよ。ヒールは無事だけど少し傷がついたな」
そう言いながら野波さんがわたしの足に靴を履かせてくれる。
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