好きを百万回。


「だっ・・・・・だって中学から大学まで女子校だったんですよ?そんな男の子と手を繋ぐなんて小学校以来でーーー!」

繋がれた手の指を絡められる。

「ーーーーーーーーー野波さん!」

「普通はさ、その年なら手ぐらいカレシと繋いでるよ。小学校以来とか何自分でカレシいたことありませんってカミングアウトしてんの」

う・・・・・・・・・・!わたしのバカ・・・・・!

繋がれた手は温かくて、絡めた指から早鐘のように打つ心臓の音が伝わってしまいそうだ。

慣れない他人の体温は決して不快なものではない。むしろ心地良くて困る。心が次第に彼に傾いていきそうで戸惑う。王子様が思いがけず庶民にも親しみ易いなんて反則だ。

身の程知らずの想いを抱かないように、ちゃんと心にストッパーをかけておこう・・・・・。
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