好きを百万回。
翌日。
「・・・・・・・・・・怒ってはります?」
捨てられた犬みたいにショボンとした山岸くんが恐る恐る口を開く。
「・・・・・全然。何かわたしを怒らせるようなことしたの?」
嫌味なくらいにっこり笑ってやる。
「意地悪言わんといてくださいよ。反省してるのに」
「わたしの意地悪くらいスルー出来るんでしょ?」
開店前、伝票を用意しながら山岸くんを昨夜の仕返しにイジメてみる。金曜日の夜に先生のところに納める作品を仕上げるのに今晩眠れるかどうかギリギリなんだから、多少の意地悪でストレス発散くらいはさせてもらう。
「・・・・・ストール、弁償させてもらいます。ケーキセットもいつでも木下さんの都合の良い日で!」
・・・・・・・・・・イジメすぎかな。
そろそろ許してあげるか。