好きを百万回。
「あら、今日は仕事?えらく早いやない。土曜日っていったら昼近くまで寝てる人が」
母がコーヒーを入れてくれる。
「そういうお母さんはまた徹夜?完全に昼夜逆転してない?」
食パンをトースターにセットし、冷蔵庫からジャムとヨーグルトを出す。
「適齢期やのに浮いた噂ひとつない娘も心配よねえ。わたしとお父さんが悪影響与えてるかしら?」
5年前、父が家を出て行きウチは母子家庭だ。ただしまだ離婚はしていない。父は大阪で一人暮らしをし、会社勤めをしている。母は挿絵画家だ。
「関係ないよ。ただわたしがモテないだけ」
「可愛いと思うのは親の欲目?」
「そう」
離婚をしないのは恐らくわたしのせい。
2人ともわたしが結婚するまではと思っているのだ。