好きを百万回。


「あ、そうか、あおば銀行!一緒だ!やだ、世の中狭いわね〜」

ホント狭い。
道理で野波さんがキルトを知っていたわけだ。

先生の指示でキルトを運び出す。野波さんが車の後ろのドアを開けて手際よく収納していく。姉弟と言われてみれば、確かに顔立ちが似ているような気がするから不思議だ。美形姉弟・・・・・・・・・・。

積み終わると先生が助手席に、わたしは後部座席におさまった。

「こまりちゃん、朔にイジメられてないの?」

「人聞きの悪いこと言うな!」

「イジメられてないですよ。野波さんは優しくて仕事ができてイケメンで女の子たちみんな王子様みたいって言ってます」

「わたしからしたら王子様って誰のことってカンジやけど」

「うるさいな。オレ、世間の評価は姉貴が思ってるよりずっと高いんだよ」
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