好きを百万回。


「だったら言うてくれはったら・・・・・」

「電卓の練習になったから良かった良かった」
軽く笑っていなしておく。

PR庫に着くと、ドアが開いている。取引先課の人が来てるのかな?
足を踏み入れようとして出てきた人とぶつかった。

「す・・・・・すいません」



かなりの長身。
わたしの顔の前には相手の胸。

微かに香る、懐かしいコロンの香り。



「木下?」



呼吸が止まる。

顔を見なくてもわかる、低くてよく響く声。


「野波さん・・・・・!」



心の準備が出来ていなかったので、わたしの心臓はいつもの2倍くらいの速さで打っているような気がする。


「久しぶり。転勤してたんやな」

「はい。1年前に」
かろうじて笑顔で答える。


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