好きを百万回。


「こまりちゃん、朝早くからありがとね。展示会始まったら自分の作品をまた見にいらっしゃいよ」

「はい。それじゃ失礼します」

野波さんにも挨拶をしようと彼の姿をさがす。ギャラリーを出たところで、車に凭れている野波さんを見つけた。

「お疲れさん」
そう言って彼がわたしに缶のカフェオレをくれる。

「ありがとうございます。野波さんもお疲れ様でした。京都にあの時間に着こうと思ったら結構早起きしたんとちがいますか?早く帰って休んでくださいね」

「・・・・・・・・・・なんか一人でとっとと帰れって言われてるように聞こえる」

肩を抱き寄せられ、野波さんが片手で助手席のドアを開けて身体を押し込められた。野波さんが運転席に乗り込み、エンジンをかける。

「わたし、バスで帰りますよ?遠回りになりませんか?」

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