好きを百万回。
野波さんは別にすごく力を入れている訳じゃない。逃げようと思えば逃げられるのに、抜け出したくないと思うのは何故だろう。
「・・・・・そんな潤んだ目で見つめてたらキスするよ?」
野波さんが軽く唇の両端を上げる。
「キ・・・・・!」
「嘘だよ。メシ行こう」
野波さんが軽く笑いながら肩に腕を回し、歩き始める。相変わらず身体は触れ合ったままで、その温もりに次第に慣れていく。
どうしたらいいんだろう・・・・・・・・・・?
連れて来られたのはどうやらホテルのようで、レストランに入ると琵琶湖が綺麗に見える。
「なんでも食べられるやろ?」
「はい」
向かい合わせで座り、メニューを広げる。