好きを百万回。


レストランを出ると、コートを着せかけられて、手を引かれる。

「寒いから早く車に戻ろう」
寒さなんか感じないくらい顔に熱が上がって、引かれる手から温かさが伝わる。

車に戻り、エンジンをかけた野波さんがハンドルの上に両腕を置き、前を向いたまま口を開いた。



「好きだよ」




微笑を浮かべた顔だけがこちらに向けられる。あまりにもさらりと紡がれた言葉が自分の中で、自分に向けられたものとしてうまく変換出来ない。



「あの・・・・・・・・・・?」


「オレ、ずっと結構あからさまだったと思うけど?」


「な・・・・・なんで・・・・・わたし?」


「なんでだろうねー・・・・・」
野波さんから出てくる言葉が甘く響く。


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