好きを百万回。
笑顔を向けられたら嬉しい。
言葉を交わすことは楽しい。
手を繋がれると温もりが心地良い。
金庫に書類をしまいに行き、ファイルを探していると、1つ向こうの棚から「野波さんが・・・・・」という話し声が聞こえた。
声の主は矢口さんだ。
「今週、ずっと休んでるんやって。40度の熱が下がらへんって」
「それはしんどいねぇ。矢口さん、お見舞い行くの?」
「どうしようかなあ、うつる病気やったらイヤやしー。でも弱ってるときって優しくされるとほだされちゃったりするしねー」
身体がどんどん冷えていくのが解る。
とりあえず仕事を片付けるけれど、なんだか水の中にいるみたいで周りの音も膜が張ったようにしか聞こえない。