好きを百万回。


そうだった。
銀行の人に聞く訳にもいかず、先生に電話したんだった・・・・・。

「お茶入れるからソファーに座ってて」
野波さんがキッチンに消える。

ソファーに座ると、ローテーブルの上には読みかけの本が広げて置いてある。少し身体が暖まってダウンコートが肩にかけられたままなことに気づき、脱いで畳んだ。

目の前にマグカップが差し出された。
牛乳がたっぷり入ったコーヒー・・・・・。一口飲むとほんのり甘い。

両手でカップを包み込むように持つ。

野波さんが隣に座る。

「木下?」

ボロボロ涙がこぼれる。

「ごめ・・・・・・・・・・」

堰をきったように止まらない。
身体は冷えているのに、流れる涙は熱い。


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