好きを百万回。


背中を撫でていた手が肩を引き寄せ、野波さんの胸に顔がつく。隣に座っていた野波さんが片足をソファーにのせて、身体の向きを変え、両腕でわたしを抱きしめる。

「夢中でマンションまで来たら・・・・・矢口さんが・・・・・だから入れなくて・・・・・」

抱かれる腕に力が入る。野波さんの肩が涙で濡れていく。

「インターホンでインフルエンザやからうつるしって追い返したよ。大体なんで木下が遠慮する?オレは木下が好きやって言ってるのに」

「ごめんなさい・・・・・」

おずおずと野波さんの背中に腕を回して、野波さんを抱きしめようとする。

「木下・・・・・それ、返事やと思っていい?」

おそらく涙でぐちゃぐちゃの顔を上げた。

「会いたくて・・・・・心配で・・・・・これって恋ですよね・・・・・?」
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