好きを百万回。
「なんや後ろで漫才してたの朔の知り合い?」
亜弥の後ろの席の男の人が立ち上がった。野波さんと変わらないくらいの長身、ダークブラウンの柔らかそうな髪には軽くウェーブがかかっていている。涼しげな目元、すっきり通った鼻筋、まごうことなくイケメン種族だ。
「こまり、アイツ折田結弦。中学から大学までずっと一緒やった悪友」
「はっ初めまして。木下こまりです」
慌てて立ち上がって頭を下げる。
「修飾語が足りないんじゃないの?」
揶揄いの込められた声音で折田さんが聞く。
「え・・・・・?」
「『朔の最愛の彼女の』とか」
「ええええっっっーーーーー!?」
「山岸、うるさい!」
亜弥が驚いて大声を出す山岸くんを一喝する。