夢追う私たち

菜耶side


着信は美雨さんからのものだった。

「もしもし…」

『菜耶ちゃん?あのさぁ、そのまま聞いててくれる?あ、喋んないでね。』

「はい…?」

なんだか受話器の奥が騒がしくなる。

『悠貴、おっそーい。』

『うっせーな、姉貴。俺だって暇じゃねーんだよ…』


え…浅田さん…?

スピーカーにしたのか
向こうの音声がこちらに聞こえる。

大きく聞こえるのは美雨さんの声ではあるけど…

浅田さんはその事をしらないわけで
なんだか盗み聞きしているようで(いや、そうなんだけど…)、いけないことをしている変なドキドキがあった。


『な…なんで佐伯くんがここに…』

え、佐伯くん?!

なんでこんなに人が集まってるんだ…
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