夢追う私たち
⑬
菜耶side
着信は美雨さんからのものだった。
「もしもし…」
『菜耶ちゃん?あのさぁ、そのまま聞いててくれる?あ、喋んないでね。』
「はい…?」
なんだか受話器の奥が騒がしくなる。
『悠貴、おっそーい。』
『うっせーな、姉貴。俺だって暇じゃねーんだよ…』
え…浅田さん…?
スピーカーにしたのか
向こうの音声がこちらに聞こえる。
大きく聞こえるのは美雨さんの声ではあるけど…
浅田さんはその事をしらないわけで
なんだか盗み聞きしているようで(いや、そうなんだけど…)、いけないことをしている変なドキドキがあった。
『な…なんで佐伯くんがここに…』
え、佐伯くん?!
なんでこんなに人が集まってるんだ…