夢追う私たち



ピーンポーン

ガチャッ

扉をあけると
バツの悪そうな顔をした浅田さんが立っていた。

「ど…どうぞ…」

「おう。」

ローテーブルの前に腰かける浅田さん。

緊張しすぎて手に力が入る。
ミルクティーの入ったカップをテーブルに置きながら、つい早口になってしまう。

「とりあえず、ミルクティーどうぞ。
ロイヤルですよ、ロイヤル!
浅田さんよりコーヒー上手く淹れる自身ないんでこれで我慢してくださ…

言い終わるよりも前に、抱き締められた。


「なぁ」

「はははははい!!」

「ぷっ…どんだけ噛んでんだよ。
俺さぁー、この仕事に出会って働けて
めちゃくちゃ幸せだったんだ。毎日充実してて…」

「はい…」

「そりゃあもう別に彼女なんていらねーって思った位。
元々、俺に寄ってくる女なんて外見しか見てないやつばっかりだったし。
でもお前に出会って、ちょっかい出すのが日課になってさ、それも楽しくて…。素で話せるし、話してみると価値観が似てるし…」

それは私も思ってた…

「それに…元カレといい、佐伯くんといい…
やっぱり、俺はお前を誰にも渡したくねえって思った。」


「だからッ、結局のところ…何が言いたいかって…」

今度は身体をぐいっと離され
真っ直ぐ見つめられる。

< 116 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop