夢追う私たち

食べるの楽しみだなーとか思ってると、
この夏希さんとのほっこりする場面に
につかわしくない声が響いた。

「ゆうく～ん
今日、何時あがりぃ？
飲みいこーよー♥」

うわっ…
すっごい猫なで声。

後ろを振り返ると…
顔は美人だけど…いかにも狙ってますオーラガンガンな残念な人がいた。
どうやらカフェのお客さんらしい。


ゆうくんて人をちらりとみやると
目があってしまったが、気まずくてパッと目をそらした。


顔は知ってる。
このカフェの店員さんで、今はイートインの接客がメインぽい。イートインは、時間の余裕的にあまり利用しないので、まだ喋ったことがない。

スタイルよくて、サロンがめちゃめちゃ似合うんだよね、この人。
サラサラな黒髪、切れ長の二重、薄い唇、おまけに長身って…
モテないわけないでしょ。いま見てわかる通り、彼目当てのお客も少なくない。

「美咲さん、仕事中なんで…」

あの女性は、美咲ﾐｻｷさんとゆうらしい。
彼は、眉を少し下げ困った表情をうかべてやんわりと断る。

が、このタイプの女性に効くはずもなく…

「えー、つれなーい。
いーじゃん、ちょっとじゃーん。ね？」

更にぴったりとくっつく体。
完全に女の武器を押しつけている…。
てゆうか、彼はトレーにアイスコーヒーを持っているのに…本当に迷惑なお客さんだ。


「ちょっと…あっ…」

彼が短く叫ぶ。

私にはその瞬間がスローモーションに
みえた。