夢追う私たち

ーーー
ーー


ザァァァ…

ディナーの時間になると、大きな雨音が聞こえてきた。

「あちゃー、降ってきちゃったなぁ…
この大雨じゃあ、予約の人以外あんまり来ないかもねぇ…」

美雨さんが窓から外を眺める。


チャリ通勤の私としては、
帰る頃までには止んでもらいたい。




結局、今夜は予約の数組しか来ず…
いつもより1時間早くあがることができた。

雨も小雨になり、これなら自転車で帰れそうだ。


更衣室で着替えていると美雨さんが心配そうに声をかけてきた。

「菜耶ちゃん、私今日車で来たから乗せていこうか?
また降ってきたら危ないし…」


ものすごくありがたかったが、
次の日自転車で来れないのは辛かったし、
折角早く終わったのに二人の時間を邪魔したくはなかったから、大丈夫ですよーと断った。



この申し出を断ったことを私は後悔することになる…。



「お疲れさまでしたー。」

店の前で皆と別れる。

なーんで皆、逆方向なんだろなぁ…
同じ方向なんて浅田さんだけじゃん。

今日も練習してくのかな…なんて、
誰も居ない通りを見つめて寂しさを覚える。
< 29 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop