夢追う私たち
「口が切れてるわね…他に痛いところは…?」

ご夫人がハンカチを口元に優しくあててくれた。

「いっ……」

痛い…

幸い、下はジーパンだったので擦り傷などはなかったが、腕やらお尻やら打ち付けたところが痛い。

あとは…

「足…やっちゃったみたいです…。」

スニーカーを脱がしてもらうと左足のくるぶしが、内出血して腫れている。

まだ震えが止まらない…
でも同時に頭に浮かんだのは、

仕事どうしよう…だった。


そこにパトカーが到着。
警察官が二人降りてきた。


「大丈夫ですか!!…コイツ…。」

気を失ってる男の顔に見覚えがあるらしい。
とりあえず、浅田さんが男を警官に引き渡す。

ガチャン

手錠を掛けて、一人の警官が車に乗り込み、もう一人が浅田さんに向かって頭をさげる。

「ご協力ありがとうございます。こいつ、最近この地域で多発してる、通り魔の犯人なんです。」

…しらなかった…

普段、テレビなんて見ないし、情報が全く無かった。
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