夢追う私たち

「菜耶ちゃん!!」
「倉持!!」

近くに止まった車から、シェフと美雨さんが降りてきた。
浅田さんが連絡してくれたみたいだ。

結局迷惑かけちゃったな…

「とりあえず、病院いきましょう!!
お巡りさん、そっちで事情きいてもらえます?悠貴!
車に菜耶ちゃん運んで!!」

「言われなくてもやるっつーの。」

そう言って浅田さんは、私の膝裏に手をいれて、
いわゆるお姫様だっこをした。

「ぎゃっ!!すすす…すいませんっ、重いのに…」

離してほしいが、体が全然言う事をきかない。
恥ずかしくてヘラッとする。
いつもみたいに、憎まれ口でも叩くかなと思ったが
今日は違った。

「…無理すんな、黙ってろ…。」

なっ…なんで…優しくすんの…

頭のすぐ上から降ってきたのは
優しい言葉だった。

じわっと目頭が熱くなる。
また涙がこぼれそうで、みられないように下を向く。

シェフと美雨さんが、老夫婦に頭を下げ
車を発進させた。
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