夢追う私たち
私に気を使ってか、車内は静かだ。

エンジンの音と私の鼻を啜る音だけが響いていた。
浅田さんは、『大丈夫だ』と言うように
そっと手を握ってくれていた。



病院につくと、レントゲンを撮られたり湿布を貼ってもらったりした。
足首は、結局捻挫。全治2.3週間とのことだった。

それから警察の人に事情やらなんやらを聴かれ、
全てが終わる頃には夜中の1時を過ぎていた。

話を聞いてもらい、私もだいぶ落ち着いてきた。

部屋から出ると、シェフと美雨さんがこちらに駆け寄る。

まず私が頭をさげる。

「すみませんっ!!まず、こんな遅くに迷惑をかけてしまって…
それから…
シェフ、私…足首を捻挫してしまって…
多分思うように動けなくてまた迷惑かけてしまうと思います…すいません…。」


「顔をあげな、倉持。
お前は、なんも悪くない。悪いのは全部あいつ。
それに…そんなんなってまで、働こうとするお前のプロ意識に頭あがんないよ。」

「ただ、明日は休め。土曜だし、いつもより早く店閉まるんだからさ。
で、日曜定休だし、そこまでは絶対安静な。」

「で…でも、キッチン二人じゃキツイんじゃ…」

「心配すんな!!友達にヘルプ頼むからさ。」

ニッとシェフが笑う。
< 35 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop