夢追う私たち
「いーよ、気にしなくて。
見つけたときは心臓止まるかと思った…
なんとかなってよかったよ…」
優しい目で見つめられる。
あ…れ…なんか、なんかなんか…
心が暖まるんですけど…。
なんだか体がムズ痒くて、
その感情を振り切るように質問する。
「そっ、そういえば!!背負い投げなんてしてましたけどっ、柔道とかやってたんですか?」
あー…といって、頬から手を離す。
「うちの実家さぁ、道場なんだよ。親父が師範で…中学あがる前までは、柔道やらされててさ。
それからはバスケやりたかったから…
散々後継ぎになれって言われてさ、カフェやるんだって言った時なんて、殴られたんだぜー。」
ははっと笑っているけど、なんだか辛そうだ。
「結局は、次女が婿もらってさ、そいつに継いでもらう事になったけど…」
そこまで話終えると、はっとして急に話題をかえてきた。
「ところでさ、倉持は将来どうすんの?」
「え、私ですか…?
私は、小さくていいんで、料理屋やりたいんです。
入りやすくて、落ち着けるような…
リラックスできるお店にしたいんですよね。
…浅田さん…?」
なんだか驚いたようにこちらをみている。