夢追う私たち
⑤悠貴side
はじめは、その場しのぎだった。
いつも昼過ぎに、ラテを買いにくる女がいた。
コックコートを身にまとい
にこにことピンクのタンブラーをもってくる
『菜耶ちゃん』と呼ばれる女。
マスターと奥さんの夏希さんとも仲が良いらしい。
あの二人が、よくこの女の事を褒めている話を聞く。
その日は、常連客の美咲さんも来ていて
いつものように俺にまとわりつく。
仕事中だというのに、飲みに誘ってくる女だ。
媚びてる声、上目遣い…俺は、こうゆう女の中の女が苦手だ。
小さい頃から、3人の姉たちには散々コキ使われ
女の汚い部分なんて見飽きた。
ただコイツは違うってなんとなく思った。
だから、コイツなら大丈夫だろと思って
俺は助けを求めた。
思った以上に鋭く強気な女だった…
めちゃめちゃ怒鳴られ
挙げ句の果てに脛に蹴りをいれられる始末。
…とりあえず
コイツは見てくれに騙される女じゃないって
確信した瞬間でもあった。