夢追う私たち
⑤悠貴side


はじめは、その場しのぎだった。

いつも昼過ぎに、ラテを買いにくる女がいた。
コックコートを身にまとい
にこにことピンクのタンブラーをもってくる

『菜耶ちゃん』と呼ばれる女。

マスターと奥さんの夏希さんとも仲が良いらしい。
あの二人が、よくこの女の事を褒めている話を聞く。

その日は、常連客の美咲さんも来ていて
いつものように俺にまとわりつく。

仕事中だというのに、飲みに誘ってくる女だ。

媚びてる声、上目遣い…俺は、こうゆう女の中の女が苦手だ。

小さい頃から、3人の姉たちには散々コキ使われ
女の汚い部分なんて見飽きた。


ただコイツは違うってなんとなく思った。


だから、コイツなら大丈夫だろと思って
俺は助けを求めた。


思った以上に鋭く強気な女だった…


めちゃめちゃ怒鳴られ
挙げ句の果てに脛に蹴りをいれられる始末。

…とりあえず

コイツは見てくれに騙される女じゃないって

確信した瞬間でもあった。
< 42 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop