夢追う私たち
それからというもの、からかいがいのある倉持と
二言、三言かわすのが習慣になった。
働いてからようやく1年が経ち
マスターからコーヒーについて色々教えてもらえるようになった。
その日たまたま、倉持と帰りが被った。
別にそのまま帰らせてもよかったけど
気づいたら赤いマフラーを掴んでいた。
とっとと帰ろうとする倉持に、俺はなんだかイラついて
2ケツを強要した。
腹に手ェまわさせたり、ちょっとやり過ぎたかとも思ったけど…倉持はなんとも思ってないだろうから、
ホッカイロみたいに温かくて
とりあえずそのまま過ごした。
まさか次の日、姉貴とカフェに来るとは思わなかったけど…
小さい頃の俺の下僕ぶりを知られるのは
弱味を握られるようで嫌だったのだ。
姉貴と喧嘩をすると、何をされるかわかったもんじゃない…
ので
いつも俺が退いてやっている。
(正しくは、退かざるをえないだけ)
それより美咲さんが倉持に何か言ってたみたいだった…
それが気がかりだ。