夢追う私たち
そして

その夜、とんでもないことが起きた。

マスターが用事があるとの事だったので、居残り練習ができず
俺はいつも通りの時間にあがった。

ビストロの奴らは、雨のせいもあってか
早く終わったようだ。

照明の消えてる店を横目に見ながら、いつも通り走って帰る。


倉持のアパート近くの坂を降ろうとした時
なにか争う声が聞こえ立ち止まる。

声の方を見ると

倒れてる自転車と男に引きずられる倉持がいたのだ。

頭に血がのぼるってこういうことかと思った。

この時は本当に必死で、体が自然に動いた。

気がつけば男を投げつけていて…

このときほど、柔道を教えてくれた親父に
感謝したことはない。


震えながらポロポロと涙を流す倉持は、本当に倉持か?
と思うくらい俺の目に弱々しくうつった。


だから、ちょっとでも安心させてやりたいと思った
俺は、コーヒー飲みたくねえ?
とか意味わかんねー事を言理由に
無理矢理部屋にあがらせてもらった。
< 44 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop