夢追う私たち
「ねえ、佐伯君…気にしてたらごめんなんだけどさぁ…」
「顔に似合わずビックスクーターなんてのってるんだね…ってことですかね?」
言おうとしてた事をドンピシャで当てられる。
…よく言われるのかな…
「よく、わかったね…」
「いやぁ、よく言われるんですよね…まぁヘルメットかぶるわけですし、顔は結局隠れちゃうんで。それに、僕は後ろに乗ることの方が多いので。」
ふと、美雨さんや玲ちゃんが言ってた事を思い出す。
『佐伯って、ゲイかもしれない』と…。
「さ…佐伯君って…れ、恋愛対象…」
聞いて良いのかわからず
でも聞きたくて少しどもってしまう。
一瞬の沈黙の後、佐伯君の豪快な笑い声が聞こえる。
「あははははっ!!
気になりますか?僕は男も女も恋愛対象ですよ。男女関係なく、好きになった人が好きなタイプってやつです。」
「な、なるほど…まぁ、誰を好きになろうと自由だもんね。」
「そうですよー。ちなみに、僕は菜耶さんでも全然オッケーですよ。」
チラッと後ろを振り返り、ヘルメット越しに目が合う。
冗談なのかなんなのかわからず
慌てて両手で頭を突き返す。
「ほ…ほら!!ちゃんと前向いて!!」
4個も年下なのになんなのっ、この余裕な感じは…
むーっとしてると、彼は更にとんでもないことを
言いはじめた。