夢追う私たち

コックコートに着替えたところで、シェフが出勤してきた。

「シェフ!おはようございます!
お休みありがとうございました!!」

「おー、倉持。どうだー、足は。頬は、だいぶ腫れ引いたな。」

「はいっ、前より自然に歩けるようにはなってきました。痛みは、もう少しですね。」

「そうか、じゃあ今日はとりあえず一定の場所で出来る作業にしよう。俺と佐伯で出来るところはカバーするから、なんでもいえよ。」

「はい、ありがとうござ…い…ます。」

ん?

お辞儀した私の目に入ってきたのは、シェフが色違いで履いてる革靴だった。

「いや、ブラックとブラウンなんですけど…」

そうだった…この人、私生活抜けてる超天然野郎だったぁぁぁ。

折角、格好よくて良いこと言ってくれてるのに、台無しだ。

「…あれ…またミューに怒られる…」

とぼとぼと、更衣室に向かっていった。

案の定、1時間後出勤してきた美雨さんがブラックの革靴の片方を持って、怒鳴りながら入ってきたのは言うまでもない…。
それと同時に入ってきた玲ちゃんには、心配しましたよぉーって泣きながら抱きつかれた。

結局今日は、下処理と洗い物中心の仕事。

あまりに動けなくて迷惑をかける事はなかったので、ちょっとホッとした。
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