夢追う私たち

…次の日…

いいお天気だ。まさに冬晴れ。

13時5分前にアパートの前に出ると、そこには黒いコートを羽織った浅田さんがいた。

「おはよーございます!」

おおっ、と言って振り返った浅田さんはカーゴパンツを黒いブーツにインさせていて…

やっぱりスタイルよくて何でも似合うな…

いつもは、パーカーとかジョギング用にスポーティーな格好だからなんだか新鮮。

「じゃぁ、行くか。」

ご夫婦の家は、私の家からすごく近い。
しかも、めちゃめちゃ綺麗で大きな家に住んでる。

木村と書かれた表札の横のインターホンを押すと
はぁい、あら!ちょっと待ってくださいねぇと名乗る前に音声を切られてしまった。

ガチャッ

と、顔を覗かせたご夫人は、この間は血相変えた顔しか見れなかったけど、今は目尻にシワをよせて優しく微笑んでいる。

「心配したわぁ。もう身体は大丈夫なのかしら?」

「あ、はい!あの時はありがとうございました!
これ、少しですが…召し上がってください。」

紙袋からドレッシングとパウンドを入れた箱をわたす。

「まぁー!わざわざありがとう。
上がっていって!調度、お茶にしようと思ってたの。」

「えっ、いやお気遣いなくっ…」

「いいのよー、うちは滅多に子供たちも帰ってこないから寂しいのよぉ。」

「で…でも…」

どうしよ…チラッと浅田さんを見ると、お言葉に甘えようと言われた。

「おじゃまします…」
< 63 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop