夢追う私たち
「菜耶…?」

一人で幸せを噛み締めてると、ふと名前を呼ばれた。

え…この声…

「えい…た…」

声のした方を見ると、そこには高級ホテルから出てきたホテルマンが立っていた。

もう会うことなんてないと思ってた。
クリーム色のホテルの制服を着た、元カレ英太だった。

年は、私と同じ24才。
黒い短髪は、今は帽子に隠れている。
スポーツマンタイプの英太は、顔も体もシュッとしていて目鼻立ちもハッキリとして、凛々しい感じだ。

浅田さんほどじゃないけど、それなりにモテるやつだと思う。

…でも、なんで東京に…?

私があまりに突然の再会にボーッとしてると
ガシッと肩を掴まれる。

「久し振り!!ずっと会いたかったんだ、菜耶に。
料理長にこっちの方で勤めてるって聞いて、俺もこっちに来た。いつか会えるんじゃないかと思って…
そしたらいるんだもんなぁ!!やっぱり俺達の出会いって運命だったんじゃないかなー。」

あー、この感じ。

強引で突っ走る…英太ってこうゆうやつだった。

私、今どんな顔してる?
絶対いつもに増して醜くなってる。
だってもうコイツの顔なんて見たくもなかったのに。
そっちが浮気してたくせに…

なのになんで平気な顔して話しかけるの?


震える唇をやっとの事で開き、言葉を絞り出す。
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