夢追う私たち
「『……だって菜耶は強いだろ?』」

「え?」

目の前の英太の目がきょとんとしてる。

「…覚えてない?『あの子はダメなんだ、俺が守ってやらないと…』あんたが、私に浮気をみつかって別れ際に言った言葉。
そうね、あの子より私の方が強いと思う。それに、結婚したらあの子ならあんたの帰りを家で待っててくれるだろうし。私はお店持ちたいからそんなことできないかもしれない。私は一人で大丈夫、夢もあるし」

「な…菜耶…ごめっ…俺が悪かった。それにあの子とはもう別れてるし、今なら菜耶が時間がない中どれだけ俺に尽くしててくれたのかわかるんだ…だからっ…」

「ストーップ。…事情はよくわからないけど、君ちょっと強引すぎ。それに、今倉持は俺とデート中だから、残念だけどその運命とやらを信じて待っておいてくれ。」

行くぞっと、私の肩から英太の手を剥がし手をひかれる。

「ちょっ…あなた何なんですか!」

「は?何なんですかって、こっちが言いたいっての。
俺のが先約。そこに割り込んできて、連れの事をシカトしてるような失礼な奴にいわれたくないね。」

「…菜耶の彼氏ですか?」

一瞬の沈黙。

「それ、俺が彼氏って言ったら諦めるわけ?」

「まさか。」

「じゃあな。」

そう言って浅田さんは、車のドアを開けて私を押し込むと車を発進させた。

うちの実家の車と違って静かなエンジン。

沈黙が辛い…


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