夢追う私たち
⑨悠貴side
それは倉持が怪我してから
最初の月曜日に起こったことだった。
昼、いつもなら倉持が来ていてもいい時間だったが、彼女は現れず、代わりに『佐伯くん』がやってきた。
「こんにちは、おすすめってなんですか?てゆうか、菜耶さんていつも何頼んでます?」
この佐伯くんとやらは
クリックリの目をしていて色素が薄く
『かわいい』と言う単語が似合う子だ。
…言ったら怒られそうだが…。
「えーっと…おすすめは、オリジナルブレンドで…とりあえず倉持は、いっつもラテ頼んでますよ。」
「じゃぁ、ラテで。」
ちょうどマスターが少し外に出なきゃ行けなかったので、その間だけこっちの作業を任されたのだ。
エスプレッソをおとしてる最中に
また佐伯くんに話しかけられる。
「浅田さんて、彼女いるんですか?」
俺と佐伯くんは、まだ親しいわけではない。
そういうのって、こんな突然聞くことか??
「…いや、いないですけど…」
スチームミルクを注ぐ。
「じゃあ…気になってる人…とかは?」
カップの蓋を閉め佐伯くんに手渡す。
「気に…なってる人…?」