夢追う私たち
何席かを残して、ほとんどがデザート待ちになっていた頃、突然玲ちゃんに呼ばれる。
「あのー、菜耶さん。ちょっと…」
手招きしてくるので近くに寄ると…
「美咲さんが、挨拶したいみたいな事を言ってて…どうします?手離せないって断っておきます?」
挨拶…?
…断りたい。
でも明らかにさっきまでの慌ただしさは、無くなっているわけで…
「…行ってみる…、ありがと玲ちゃん。」
コック帽を外してフロアへ出る。
美咲さんの座ってる席は、厨房から離れていて丁度こちらからは見えない席だった。
「いらっしゃいませ。料理は、いかがでしたか?」
「ごめんなさいねー、忙しいのに。すっごくおいしかったぁー。―――――途中までは。」
急に声が低くなり、驚いて顔をあげる。