夢追う私たち

何席かを残して、ほとんどがデザート待ちになっていた頃、突然玲ちゃんに呼ばれる。

「あのー、菜耶さん。ちょっと…」

手招きしてくるので近くに寄ると…


「美咲さんが、挨拶したいみたいな事を言ってて…どうします?手離せないって断っておきます?」


挨拶…?

…断りたい。
でも明らかにさっきまでの慌ただしさは、無くなっているわけで…

「…行ってみる…、ありがと玲ちゃん。」


コック帽を外してフロアへ出る。

美咲さんの座ってる席は、厨房から離れていて丁度こちらからは見えない席だった。


「いらっしゃいませ。料理は、いかがでしたか?」


「ごめんなさいねー、忙しいのに。すっごくおいしかったぁー。―――――途中までは。」


急に声が低くなり、驚いて顔をあげる。
< 82 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop