夢追う私たち
カフェに入る前にガラス扉越しに中を見つめるご両親。
その視線の先には、いつものように笑顔で接客する浅田さんの姿があった。
「なかなか様になってるわねぇ。」
浅田母は、暖かい目で見守っている。
私は気になってチラリと浅田父を盗み見た。
…なーんだ、やっぱり応援してるんじゃない。
浅田父は、目こそキリリとさせているが、口元は少し緩んでいた。
どうやら、余計な心配だったみたいだ。
カランコロンッ
「いらっしゃいま……せ…」
笑顔だった浅田さんの顔が、驚きの表情に変わった。
「…久しぶり…。」
「元気だったー?悠貴。頑張ってるみたいね。」
浅田母は、相変わらず笑顔だ。
「もちろん。そんな半端な気持ちで出ていった訳じゃないから。」
何飲む?とメニュー表を手渡す浅田さん。
最初こそ顔が強ばっていたが、今はいつも通りの笑顔に戻っていた。
このまま和やかな雰囲気が続くと思ってたのに…