覚醒者3号
一通りの話を終えた女性は、俺に視線を向ける。

「私の任務は機関によって実験台にされ、回収されるであろう君の保護…機関に捕まり兵器として売りさばかれる前に、私が安全な場所へ連れていく」

「……」

女性の言う事は筋が通っていた。

俺を助ける事が目的なら、彼女が俺に接触してきた理由も、俺に真実を語った理由も納得できる。

彼女が言う事は、恐らく本当の事なのだろう。

しかし。

「……」

この女性の纏う雰囲気、そしてこの女性の目。

それがどうも気になった。

無機質で、機械的で、情というものを感じさせない。

まるでロボットのような彼女に、本当に身を任せていいのだろうか…。

「急いで。あまり時間をかけたくない」

有無を言わさず俺の腕を掴む女性。

その手は外気以上に冷たく、まるで氷のようだった。

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