覚醒者3号
私は高校生の頃、小山田君と同じように予防接種と称して機関の開発した薬品を投与され、その結果『発症』。

その日のうちに1号に拉致され、機関に連れ去られた。

私は有無を言わさず機関の仕事の片棒を担がされる事になった。

私が発症した超能力は1号と違って、あまり戦闘に向いた能力ではない。

何度か脱走も試みたものの、その度に1号や機関の人間に阻止され、処罰を受けた。

…唯一運が良かったのは、機関は1号への人体実験の反省に基づき、私には過度な薬品投与は行わなかった事だ。

結果として私は善悪の判断も理性も失わずに済んだ。

そして機関に従順になり、脱走など諦めたふりをして、ずっと今までチャンスを窺っていたのだ。

…そんな最中、私は自分が薬品を投与した人間が『発症』してしまったのを知ってしまった。

私の能力によって。

…それが小山田君。

このままでは、彼が私と同じ末路を辿るのは目に見えていた。

だから機関の隙を突いて私は再び脱走した。

「貴方を助ける為にね」

「……」

私の話に、小山田君は驚きを隠せない様子だった。

だけど、信じてはいるらしい。

目の前で1号と私のあんなやり取りを見たのだ。

もう疑いようもないだろうけど。

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