覚醒者3号
「何でもない…」

痛みに顔をしかめながらも俺は答える。

「嘘、何だか辛そうだもの」

そう言って黛さんは、何かに気付いたようにハッとする。

「まさか…頭痛がするの?」

「……」

もう隠しようがない。

俺は仕方なく頷く。

「どうして早く言わないの!もう!」

彼女は少し叱るような口調で言った後、ポケットの中から錠剤を取り出した。

頭痛薬らしい。

「これを飲んでおいて。少しは治まる筈だから」

「ああ…」

言われるままに飲む。

この薬まで変なものじゃないだろうな…という疑念も一瞬あったが、錠剤の包装が俺の家の救急箱に入っているのと同じなので多分大丈夫だろう。

…俺が薬を飲むのを見ながら。

「小山田君…」

黛さんは険しい表情をしていた。

「『発症』が始まったみたいね…」

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