覚醒者3号
1号がカッと目を見開く。

途端に。

彼女の背後に浮遊していた廃車は、次々と私達目掛けて突っ込んできた!

「小山田君!」

私は彼の手を引き、全速力で走り出す!

ほんの数秒前まで私達の立っていた場所に、次々と廃車が突き刺さる!

まるでブレーキの壊れた暴走車が突っ込んでくるかのようだ。

グジャッ!ガシャンッ!

耳障りな金属のひしゃげる音。

しかし振り返っている暇はない。

少しでも走る速度を落とせば、あっという間に廃車に押し潰されてしまう。

そして1号は。

「ハハハハハハハ!ハハハハハハハハハハハハハハハハッ!」

まだ狂ったように嗤いながら、私達の後を追ってきている。

私たちが必死に逃げまどう姿を見て愉悦に浸っている。

私達を嬲っているのだ。

…尚も廃車の群れは衝突音を響かせて、私達の背後へと突き刺さっていく。

そして。

「!!」

四台の廃車が、私達の前後左右を取り囲むように地面に突き刺さった。

ちょうど檻に閉じ込められたような形。

その四台が、私達を押し潰すように内側へと倒れ始める!

「くっ!」

私は小山田君の手を握り締め、瞬間移動を敢行した!

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