覚醒者3号
そんな四門の言葉が頭のどこかに引っ掛かったまま、放課後。

俺は鞄片手に校門を潜る。

いつもは仲のいい友人と下校し、途中道草食ったりもするのだが、今日はどういう訳か誰とも都合がつかずに一人で帰る事になった。

このまま帰るのもつまらないし、ゲーセンにでも寄って帰ろうかなと考えていた時。

「小山田哲平君」

高架下。

トンネル状になった場所を潜っていた所で、俺は名前を呼ばれて立ち止まる。

振り向くと。

「小山田哲平君ね」

腰まで伸びた長い髪の女性が、そこに立っていた。

黒いセーターにブラックジーンズ。

長い前髪で左の目は隠れている。

どこか暗い雰囲気を纏った、三十歳前くらいの女性だった。

< 8 / 66 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop