鬼話
気づかれないように。過ごして二年。
随分長く生きれたものだ。
お父さんは死に、娘も死んだと訃報が来た。
私は、独りだ。
鬼だって、そうだったかもしれない。
めまいがする。
どうやら本当に死んでしまうらしい。
私は知った。
人間の怖さ。
愛する人の愛しさ。
娘の可愛らしさ。
無事に生きて欲しいという思い。
そして
死ぬ前の恐怖。
私は、自分が嫌いだった。
人間でもなく、鬼でもない。
不平等な世界で、今夜仕打ちを受ける身体が
中途半端で、半不死身の体で生きたことが
嫌いだったけど、幸せだった。